アスペルガーな人へ100の質問

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Q.1 ハンドルネームをどうぞ

 黒やまねこです

Q.2 年齢(○十代)、性別、 誕生月を教えて下さい。

 30代、男性、7月です。

Q.3 公開できるHP・ブログをお持ちでしたらURLを。

 ありません。

Q.4 どんな赤ちゃん・子どもでしたか?

 言葉を覚えるのは早かったようですが、発音がちょっと変わっていて、聞き取れないほどの早口、その上理屈っぽかったようです。就学前の検査では、IQが非常に高かったと、母が自慢のように話していました。(今は普通だと思いますが。)
 頻度はあまり高くなかったかも知れませんが、癇癪や凝り固まった正義感も強かったと思います。保育園児のころ、近所のガキ大将に自分のお菓子を奪われたことがありました。私はその子を家まで追い、その子が家に閉じこもると、なんら躊躇わずに拾った石でガラスを割りました。結果、雪の降る中、半日外に立たされるはめになりましたが。通常、癇癪を起こす場合は、(親が厳しかったので)独りで物に当たり、当たった物に申し訳なくて切なくなると、心の中で謝りながら片づけていました。
 おねしょ、おもらしなど、下の処理はかなり長いこと不安定でした。おねしょのせいで夜中に目が覚めても、朝までじっとしていたり、学校でお漏らしをしても、そのまま放課後まで授業を受けて帰るような子供でした。妙に律儀だったのかも知れませんが、有難くない注目を浴びる原因の一つではありました。小学校高学年になっても、泊まりの行事の最大の懸案はおねしょで、担任の先生にも配慮していただいていました。
 小学校低学年の頃のあだ名は「ボケ」でした。担任、クラスぐるみで。担任の発言がきっかけとなって、クラス全員一斉に「ボケ!」と怒鳴られた光景は、決して忘れることはできません。一部の教師、保母さんに、極端に嫌われたような記憶もあります。嫌われていたことに気づいたのは、後年になってからでしたが・・。周囲に馴染めないことで、毎日のように学級会の議題にされた経験も、さすがに「針の筵」でしたし、いわゆる「悪いこと」は何もしていないはずだったので、納得できませんでした。
 学校での評価は、「人の話、授業を全く聞いていない」「平気で嘘をつく」「独善的」などといったものだったので、両親を悩ませていたようで、かなり厳しい方法で矯正されました。勉強の理解、成績はそれほど悪くはなかったはずですが、割り算の筆算、蝶結びなど、母や父が半日掛かりで教えてもなかなか理解できなかった事もあり、むらがあったようです。(「嘘をつく」については、なにも意識せず本当とは違うことを言ってしまう、という状況だったか、または認識の問題と思います。何らかの意図をもった嘘はつけなかったですし、今も全く嘘がつけません)
 高学年に至って、私の事を「天才型」「一匹狼」と言った先生がいました。悪い意味ではなく、むしろそれだけ気に掛けて頂いていたようです。その頃でも、運動会でのダンスの一部動作や、全校でのウェーブなどで、文字通り凍り付いてしまうことが、よくありました。そのことが原因で、運動会でも、家族に心配を掛けてしまったことを覚えています。
 大人には、「屁理屈」「裏表がない」「やかましい」「なんだか気持が悪いね」などと言われた覚えがあります。

Q.5 無口な方? よくしゃべる方?

 小さいころはかなりやかましく、「機関銃のよう」にしゃべると言われました。今は言いたいことがない限り無口です。不用意にしゃべると混乱してしまいますし。
 ただ、独り言が非常に多く、仕事中にもしてしまうので、時に「意識がダダ漏れ」のような錯覚に陥ることが多いです。

Q.6 涙もろいほう?あまり泣けないタイプ?

 他人や周囲が泣いているときは極端に冷静で、ただの観察者になってしまいます。
 何年も病気だった父が死んだとき、泣けませんでした。自分が泣けないだろう、ということは何年も前から分かっていて、父の死とは別の意味で苦しかったです。父にはもっと生きていて欲しかったですし、理解し合えないにしても、もっといろいろなことを話したかったのですが・・。
 自分には、大切な何かが欠けているのかも知れないと、はっきり自覚したのは、そのせいです。
 ただし、涙もろくない、というわけではありません。一人の時に突然、顔をくしゃくしゃにしたくなることがあります。突然涙が流れることも多いです。

Q.7 小説と図鑑、どっちが好き?

 どちらも好きです。というより、活字のない生活など考えられません。

Q.8 「サリーとアン課題」はクリアできた?

 つい最近、初めて知った課題なので、分かりません。大人になった今なら、普通にクリアできて不思議ではない課題だと思います。通常は発達途上の子供が対象ですよね・・。
 多分、子供のころでも、クリアできたかも知れないと思います。当時流行っていたドリフのコントは理解できていて、大好きだったので。勝手に「志村、うしろ!課題」と呼んでいますが・・。
 いわゆる、「心の理論」的なものに関しては、机上での応用は得意で、国語の文章問題も、かなりすらすら解ける方です。その場に即したストーリーを組み立てることにも、さほど困難を感じません。そのせいで、アスペルガーの概念には当てはまらないかも、と思うこともあります。しかし、現実社会での応用となると、これは別問題で、情報入力が多い程、困惑の度合が高まります。ストーリーを「感じ取る」ことと、「検討を重ね、分類すること」のギャップを、日々実感しています。

Q.9 学校の頃の、得意な教科、苦手な教科は?

 国語、美術が得意です。体育のうち、球技は絶望的に苦手です。器用さや、複雑なルールへの対応が必要な科目が苦手なようです。最近気づいたのですが、球技が苦手な原因は他にもいろいろあって、突然視界になにかが入ってくることへの恐怖とパニック、体の左右の協調性の悪さが挙げられると思います。(バットを片手で持つと、どうにかボールに当たるのに、両手で持つと全く当たらなくなります。)
 他の各科目は得点に変動がありすぎて、得意とも苦手とも普通とも言えません。

Q.10 子どもの頃理解できなくて困ったルールや、大人になってから知ってびっくりした世の中のルールは?

 理屈に合わない、人間のすべての部分です。大抵の人間は不条理で、子供じみているように思えていたのに、大人になって周りを見渡すと、自分だけが子供で、奇妙な存在であることを、強烈に意識させられます。自分は大人ではない、それでいて子供だった訳でもない、というのが実感です。
 「友達を作る」という感覚は、全く分かりませんでした。そして、自分より図々しい人、大人しい人などが、集団の中にきちんと居場所を作っている事実が理解できませんでした。精一杯人に親切に、迷惑をかけないように行動して、それで足りないものがあるというのは、悪夢としか思えませんでした。
 さらに、大抵の人が、言いたいことを言っている様に見えるのに、自分が口を開くとトラブルになることが多いのはなぜか、全く理解できませんでした。(トラブルというのは、大人子供を問わずヒステリックな反応を呼んでしまったり、多数の人間に吊るしあげられるような事態です。)
 世の中では、自分の主張を通すために、感情を武器として使用することが認められていること、これも理解出来ませんでした。大人になれば、感情のあやふやな部分に左右されない、もっと分かりやすい世界が待っているような、根拠のない思い込みがありましたが、それも結局期待外れでした。むしろ分かりにくさ、恐ろしさが増しただけでした。
 今は、人の一見不条理な行動の多くに意味が潜んでいるような気がして、よく考え込みます。その中で、普通の人にとって数人で行動する時、声の大きさや立ち位置が重要らしい、ということに気づきました。だから集団は、横並びに歩くことに執着するんだなと、妙に納得しました。

Q.11 どんな分野の仕事をしていますか? アスペの人に向いている仕事(職種)って、何だと思う?

 IT関連です。コミュニケーション能力が極端に重視されるので、苦労しています。それでも、無理だと思える課題を一つづつこなすことによって、鍛えられている実感はあります。ただ、あまりに疲れ過ぎですし、いわゆる「人並み」には程遠い状態なので、自慢にはなりませんが・・。
 無理かも知れませんが、旅をする仕事には憧れます。

Q.12 血縁者の中に、アスペっぽい人はいますか?

 回答になっていないかも知れませんが、鬱経験者は多く、母もその一人です。私が子供の頃の母は、情緒が安定せず、独特の鋭さと、妙な頑迷さ、鷹揚で暢気な部分、気まぐれと厳しさ、が入り混じった人でした。掴み所がない部分も多かったのですが、私とは妙に気が合いました。それでも、アスペルガー的な意味で自分と比べると、まだ「普通の人」に見えます。

Q.13 最初にアスペルガーかもしれないと気付いたのは、どんなきっかけ?何歳頃?その時の気持ちは?

 最近家族に言われました。もともと違和感はありすぎだったのですが・・。そもそも、「自分は人の気持ちが分からない病気」だとか、「人間になりたい」というのは、昔からの感覚で、ずっとどこかに、いわゆる「落とし所」を求めていたのも事実です。そこに、アスペルガーという分かりやすい定義を与えられたことで、長年拭えなかった奇妙な感覚の正体が、やっと分かったように感じました。
 それからは、自分を見直し、自分にできないことを悲観することより、できていることを評価することが多くなりました。そもそも、気付く以前から、書籍に載っているような、アスペルガーの人向けのアドバイスの一通りは、自分なりの試行錯誤の中で実施済みでしたから・・。
 一方、今までどうにかできていたことが、できなくなってしまうのでは、との不安も感じており、注意しています。むしろ自分への監視が強まりました。
 また、自分の違和感が生まれつきのものであることを知った今、素直に両親に感謝することができるようになりました。以前は、「自分がおかしいのは、環境のせいではないか」などと、いろいろな経験が気になってしまい、混乱していました。今では、両親に愛されてきたことを知っています。特に母は、人を傷つけたり、人に迷惑をかけるような行為には、断固とした厳しさ、個人的な問題から来る癇癪やパニックには、適度な無関心、そして、こちらの反応に構わない、マイペースな愛情表現を与えてくれました。時には理不尽であったり、厳しすぎる面もありましたが、多くの場合、十分な説明と共感をもって教えられましたし、少なくとも、今の私にはその「純粋さ」が理解でき、ありがたく思います。

Q.14 ASの診断は下りましたか?その時の気持ちは?(下りていない人は、もし下りたらどう感じると思いますか?)

 受けていません。受診を勧められたこともありますが、心の問題等について医療に頼る習慣がないこと、適切な診断を受けることの困難、診断基準の複雑さなどから、受診に踏み切れません。鬱の母にも、負担を掛けるわけには行かないと思います。
 もし診断が降りても、たまたま医師と自分との意見が同じだったんだなと思うだけだと思います。いまさら補強が必要な違和感ではないですし・・。ただ、意見が一致した場合、自分と、医師に代表される社会が若干近づくことになり、診断の内容とは矛盾してしまうのでは、などと無意味な思考にはまってしまうこともあります。他人と意見が一致することは、それほど希有で、ある意味恐ろしい経験とも言えます。他人の思考のメカニズムがよく分からないため、共鳴、共感、意見の一致という事態は、対立と同じく困惑の元です。
 もし、誰もが納得できるような、明確な診断基準が発見されれば、異なる感想を得るかも知れません。あるいは、自分の置かれたやや特殊な状況に、いずれ誰かが別の名前を与えてくれるかも知れません。

Q.15 WAIS-R検査を受けましたか?IQ値や言語性と動作性の有意差は、どうでしたか?

 受けていません。

Q.16 併発・二次障害がありますか? その対処は?(処方箋・カウンセリングなど)

 パニックやフラッシュバックのような状態では、叫んだり、頭を壁にがんがんぶつけたりしますが、「自傷」と呼べるほどのものではないかも知れません。今まで、治療が必要とも思わないで来たのですが、少し不安です。
 心の状態として、「場違い感」「いたたまれなさ」が常にあるため、対人恐怖が強く、鬱のような感覚も強いです。傍から見ても、尋常でない苦しみ方に見えるそうです。しかし、そうした状態になるのは、自分が、現実社会から、強烈なフィードバックを受け続けており、常にギャップに苦しんでいるためです。その苦しみの中から、様々なことを学習して来た自覚があります。もし、何らかの処方箋によって、楽になる方法があったとしても、自分の学習能力が損なわれ、社会から乖離してしまうような気がしてなりません。
 また、身近に鬱の人が多いので感じるのですが、自分が、当面は本当の鬱にもなりきれないだろう、という確信もあります。素人判断が危険なのは承知していますが、理不尽が当然の自然界や社会の中で、自分が本当は幸運な生物であることを、知識として知っています。そうした面では、うんざりするほどニュートラルである自覚があります。
 友達もいない私が、時に理不尽と思える扱いを受けながらも、不登校などにならず、社会に留まって来られたのは、そうした知識と、自分独特の気持ちの切り替え方、そして生来の鈍感さによるのでしょう。

Q.18 自閉症スペクトラム指数(AQ)での自己診断の点数は?

 何度受けても(わざとパターンを変えて見ても)38点でした。妻が私に成り代わって入力しても、やはり同じでした。

<以下>
社会的スキル
9点
注意の切り替え
8点
細部への注意
6点
コミュニケーション
9点
想像力
6点

閾値を越えています。

Q.19 タイプでいうと、積極奇異型、孤立型、受動型、どれっぽい?

 自分では孤立型でありたいと思うのに、受動型であることをしばしば思い知られます。文字通り「素直すぎる」のでしょう。いつも人に対する警戒を怠らないのに、結局御しやすい人間であることがばれてしまいます。

Q.20 どんな「こだわり」がありますか? 「勝ちたいこだわり」ってある?

 歩行時の秩序にはかなりこだわります。人とすれ違うときも、よけるのは正確に半分ずつでなければいけません。間違ってよけすぎると理不尽なので、補正しようとし、妻の言葉を借りると「ぶつかりにいって」しまいます。トラブルのもとなので、怖いです。
 他に、人ごみの中を斜めに歩く人にも、反感が激しいです。思わず足を当ててしまい、トラブルに繋がるので怖いです。よく睨まれますが、その記憶が焼き付き、パニックになっても、やめることができません。
 信号機のない横断歩道は、「歩行者優先」なので、車が来ていても渡ります。時々、「死ぬかも知れない」と思います。
 自動車を運転する時も、他車の割り込みなどには極度に反発しますが、最近ではいつも、「(相手が)先を急いでいるのは、奥さんに子供が産まれそうだからにちがいない」と考えて気持ちを切り替えます。
 また、人間が不平等な存在であることは理解できます。お金持ちやそうでない人がいること、満員電車で座れる人、座れない人がいることは仕方のないことと思います。しかし、満員電車の混み方が均一ではなく、負荷が偏ることは理解できず、許せません。
 朝、仕事を始めるときは、パソコンの画面で各ウィンドウをきっちり揃えないと、仕事が始められません。

Q.21 視覚優位、聴覚優位?

 聴覚だと思います。

Q.22 常同運動、ロッキングはしますか?

 手をぱたぱたすることはよくあります。集中したいときは人差し指を立てます。看板やポスターのコピーを、つい声に出して読んでしまいます。
 他には指の皮を食べる癖、貧乏揺すり、体をゆらす等(ロッキングと呼べるのかはわかりませんが・・)、こうして書き出して見ると、癖はかなり多い方ですし、人前でもやってしまうようです。

Q.23 記憶力はいい? 赤ちゃんの頃のこと今でも覚えてますか?どんなこと?

 いろいろ覚えています。初めて保育園へ行って大泣きしたこと、おまるを使ったことなどは、昨日のことのように鮮明です。それ以前、ほとんど赤ちゃんのころ、自慰行為を母に止められた記憶もあります。ただ、古い記憶の中の人の顔は、二つ穴のボタンであったり、穴の開いた食パンになっている場合があります。
 産まれた時の記憶のようなものは、乳幼児期の夢の話として別にしておきたいと思いますが、それでも自分の人生を通じて、大きな位置を占める存在になっています。危うい均衡と一定のリズム、それが一変して、時間も空間もなにもかもが圧縮され、押しつぶされる感覚(時に、バラ線でぐるぐる巻きにされ、規則正しいリズムで空間ごと締め上げられるような感覚)、そして寒々しい解放に至る感覚は、あまりに強烈です。
 かといって、記憶力がいいわけでもないです。メモリが小さいため、三歩歩くと、何のために歩き出したのか、忘れることも珍しくありません。人との会話の内容も、記憶できる語数に限度があるため、複雑な内容を理解することに困難を感じてきました。文章を読んで理解する場合との落差が激しいです。なんだか眠くなってしまいますし・・。読んだ本や、その内容も、読む端から忘れていくので、同じ本を何冊も買ってしまっていたりします。

Q.24 関節はユルい?固い?

 これは普通だと思います。

Q.25 コタツに入って、足が見えなくなると、感覚がなくなる?

 感覚がなくなることはないと思います、と以前書きました。最近になって、眼を閉じると、体の一部の感覚が明らかに実態よりずれていたり、時にはなくなっていたりすることに気付きました。腕を組んだ時、左右どちらの腕が上なのか、分からなくて驚きました。しかし、これは疲労や歳のせいかも知れませんね。

Q.26 やけに暑がりだったり、やけに寒がりだったりしませんか?

 極端に鈍感でした。子供の頃は衣替えのタイミングが半年ずれて、夏に長袖、冬に半袖でした。それに関しては、父に指摘されて気づきました。どうやら、一度半そで、または長そでを着る習慣が定着してしまうと、切り替えるのが難しかったようです。
 また、朝と夜とで体温が二度以上違うのですが、これはあまり関係ないですかね。

Q.27 感覚過敏はありますか?(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)

 聴覚は敏感な方です。賑やかなところは極端に苦手で、街にいると突然、すとんと落ちるように気が抜けてしまうことがあります。子供のころから意識して体を鍛え、体力もあるように思っていたのに、家族で都会へ出ると、自分だけがぐったりして動けなくなってしまうことが、長い間不思議でなりませんでした。
 また、子供のころは、建物のどこかでテレビが付いていると、音が消してあっても、建物に入っただけで耳鳴りのような音を認識できました。
 また、疲れたり、興奮しているときは、明らかに音の遠近感がなくなることが分かります。たとえば、遠くの人のひそひそ話が、まるで耳元で囁かれているように感じられます。幼少時の一部の記憶を特に印象付けているのは、こうした感覚面の変化だと、最近気づきました。
 嗅覚、触覚も敏感で、触覚に関して言えば、背中に何かが触れると、場所によっては叫んだり、飛び上がったり、反り返ったりと大騒ぎです。それが原因で、妻に怪我をさせないかと不安になるほどです。時には、背後に何かがあるという気配だけで耐えられないこともあります。

Q.28 好きな食べ物、苦手な食べ物は?(コーヒー、チョコ、ナッツ等は?)

 好き嫌いは全くありません。むしろ好奇心が強いので、なんでも一度は食べないと気が済まないところがあります。ひとが美味しいというものなら、たとえゲテモノでも、食べておきたいこだわりがあります。

Q.29 苦手な音は?

 大き過ぎる音、刺激の強い音が苦手なのは、まあ当たり前かと思います。中でも、人間が出す音は特に苦手です。私は、足音の調子や、生理的に発せられる音にすら、意図を想定してしまうので、困惑のもとになります。

Q.30 電話の音や、電話をかけるのは苦手?

 苦手です。ベルが鳴ると動悸が止まらなくなることがあります。

Q.31 苦手な服は?(タートルネック、ピタッとした下着は?)

 どんな服でも、薄手のTシャツでも、胸にかかる重さが気になってしようがありません。息苦しいです。

Q.32 聴覚過敏と視覚過敏、どちらが強い?

 いままで、聴覚ばかり気になっていましたが、今はどちらとも言えません。

Q.33 反対に、鈍感すぎて困ったことはない?

 人の話言葉そのものにはなぜか鈍感です。ときどき自分の知らない言語に聞こえてしまいます。また、人の話を聞いていると、極度に眠くなることが多く、たまにストンと落ちてしまうので、用心しています。これは仕事等にも影響する、自分の最大の弱点の一つです。

Q.34 恐怖症はありますか?何恐怖症?

 高いところが苦手ですが、自然物(崖など)は、いくら高くて危険な場所でも全く苦になりません。人工物は、わずかな高さでも足が竦みます。

Q.35 右と左は混乱しませんか?

 極まれにですが、混乱します。

Q.36 人の顔を覚えられない?

 全く覚えられません。同じ人に何度も「はじめまして」と言ってしまうことはいつもの事です。また、なぜか全然似ていない人をセットにして覚えてしまい、数年間ずっと間違い続けた、などということもありました。名前も同様です。

Q.37 どんな人が苦手? 苦手な男性のタイプ、女性のタイプは?

 表情でコミュニケーションを図ってくる人が苦手です。知識としてその意図を分類できるのですが、こちらにはそれに応える術が全くありません。
 また、必要以上に音、声を出す人は生理的に受けつけません。食事のときにうるさい人、舌打ちする人、会話の時に手を叩く人、座席にドカッと座る人などはどうしようもなく嫌いです。
 さらに、「我々は」とか、「私達は」などと言って、個人の問題を一般化したがる人間も苦手です。「自分は普通である」、「自分はなにかに属している」、という自信は理解できません。
 ただし、人の好悪に性別は影響しません。

Q.38 じゃがいもとさつまいも、豚肉と鶏肉、芸能人のあの人とこの人など、長い間区別がつかなかったものはありますか?

 小さい頃は空の月も地球と同じだと思っていました。地球が一つしかないことが長い間信じられませんでした。他に保育園の頃、「外科病院」の看板の“外”の字が“死”と紛らわしくて、恐ろしかった思い出もあります。
 子供のころから、また、大人になったいまでも、セットで言い間違えやすい単語がいくつかあります。たとえば、「とまと」と「たまご」、「あざらし」と「あじさい」などです。

Q.39 声が大きすぎたり小さすぎたりして困ったことはありますか?

 小さくなることが多いので、いつも注意しています。

Q.40 パニックになるのはどんな時? その時、どう対応する?

 パニックと言えるのか、よく分かりませんが、混乱しやすく、吃驚しやすい自覚があります。普通に声をかけられただけで、吃驚しすぎてしまい、相手を驚かせることが多いです。
 対応としては、自分がとっさに思ったことの反対のことをするように心がけており、そういうときはむしろ異常に冷静に見えると思います。その冷静さは、見かけだけなので、あまり役には立ちませんが・・。
 また、体の特定の部位が、特定の感情に対応していて(たとえば、息苦しくなるようなパニックには胸と鎖骨の間、悲しい時には左鎖骨の辺り、イライラには右の腎臓の裏など。)、そうした部分に手を当てたり、意識を向けることによって、ある程度感情をコントロールできる場合があります。

Q.41 「予定変更パニック」って、ある?

 子供のころはありました。よく一人で癇癪を起こしていましたが、いまは予定変更のことを「気にしない自分」を予定に組み込んでいるので、あまり問題を起こすことはありません。対応する「心の引き出し」は多少増えているようにも思えます。

Q.42 フラッシュバックはありますか? つらい?

 いつもです。つらいというより、文字通り「痛い」です。イメージ的には、「因幡の白兎」で、全身の傷口に塩を擦り込まれるような感覚に、非常に近いです。
 いやな思い出でなくても、なぜ辛いのか分からない記憶でも発生します。ちょっとした会話や、人に親切にされた記憶までが、痛みを伴います。恐らく、コミュニケーションや感情に起因する疲労が原因のようです。そこには、「人がどうしてそれを話すのか」、「どうしてそれをするのか」、といった事が本当には分かっておらず、「自分からは何も返せない」という焦りも含まれているように思います。実際、自分には物事が問題なく進んでいるのか、あるいは注意が必要な状況なのか、人の言動や表情では判断できず、まったく手探りの状態です。わずかなコミュニケーションでも、場合によってはすべてが失敗に思えて、七転八倒の苦しみになります。なのに、本当につらいと分かる記憶では、どこか他人事のようになってしまうことも多いです。
 記憶の無限ループ、悪夢の繰り返しもよく起こります。白昼夢も頻繁です。
 自分が人に話した内容、ネットに書き込んだ内容も、寝ても起きても朝まで全く止まらず頭の中を回り続けることも多いです。胃潰瘍で朝まで痛みに苦しんだ時と、似ているように思われます。

Q.43 自分は、ポジティブ?ネガティブ?

 あまり区別しません。負の思考が止まらなくなることはありますが、心のどこかは冷静で、切り替えることができる場合があります。人にも、私がポジティブなのかネガティブなのか判らないと言われます。

Q.44 理論派か?情緒派か?

 単純な感情や、ものには感情移入しやすいという傾向があります。ある種のキャラクターや無機物に向ける情感がとても強すぎ、混乱につながることが多いのです。
 具体的に例を挙げると、「ひよこ」や「はとサブレ」を食べる時、使えるのに捨てられる製品を見た時など、たまらなく切なくなることがあります。その外見や、生まれた理由から考えれば、酷く理不尽で恐ろしく、悲しい運命に思えてしまい、ひどい時は取り乱して、おろおろしてしまいます。
 そうした面から、自分を情緒的だと思っていたのですが、「本当の」人間の感情に、踏み込めない領域があることを意識させられることが多いです。というより、指摘されることが多いです。そうした領域については、よく考えはするのですが、理論と情緒の区別自体がうまくできなくなってしまい、混乱します。情緒的なものを、どれほど的確に分類して見せても、単なる「分析結果」であることが、いつもあっさりと見破られてしまいます。

Q.45 四角四面の物事を額面通りに考えるタイプ?

 柔軟に考えているつもりで、実は額面通りの捉え方をしていることが多く、よく指摘されます。傍から見て、「柔軟に考えているつもり」というのが、かなり意外だそうです。

Q.46 ファンタジーは好き?

 子供の頃はいつも空想に浸っていましたが、大人になり、論理性が付加されたようです。読み物としてのファンタジーも好きです。良いファンタジーは、ドキュメンタリー以上に冷徹に現実を捉えることが出来ているものだと思います。どんなにシンプルでも構いませんが、そこに思想がなければ、単なる逃避に過ぎないと思います。
 私には、他人との共感は乏しいですし、友達もいませんが、主要な関心の対象は、結局人間です。ファンタジーは、その橋渡しをするもので、人間を理解するための大事なツールです。私にも理解できるような、純度の高い想像力、感情の力は、考え抜かれ、割り切られたファンタジーからこそ、学ぶことができたように思われます。

Q.47 あなた独自の計算方法がある?

 独自のものはないようです。

Q.48 量の感覚がつかみにくい?たとえば?

 記憶の遠近感が弱いと思います。また、音の遠近感も喪失することがあります。また、三桁以上の数字は、指を使って数えないと桁数が分かりません。

Q.49 時間は、守れるほう?遅れるほう?

 時間は守ります。30分以前は当然です。しかしなぜか、期限は守れないことがよくあります。

Q.50 正義感が強いほう?

 強い方だと思うのですが、あまり共感されるタイプではありません。子供の頃の通信簿の評価欄には、「独善的」という記載がありました。こだわるほど社会が遠のきます。
 味方がいないことが常態のため、人との対立は致命的で、即孤立に繋がることを、経験から思い知らされています。自分の正義感を貫くことに対する恐怖が強いです。

Q.51 割り込みをする人や「ゴミのポイ捨て」を見たら、どうする?

 ゴミはまず黙って、相手に見えるように拾います。割り込みは体でブロックする、時には注意するようにもしています。黙っていることは、きちんとゴミを片付ける人や、自分の後ろに並んでいる人への背信行為に他ならないからです。ましてや、相手を選び、対応を変えるなど、論外です。
 ただ、実際には、困惑して凍り付いてしまうので、タイミングを逃すことが多いです。自分の行動を、あらかじめ決めておくようには努力しているのですが・・。その時々のケースが、果たして本当にポイ捨てや、割り込みに該当するのか、悩んでしまい、判断ができないまま何日も悩み続けます。
 正義感の空振りでは、何度も痛い目を見てきましたし、人の「逆上」「激高」「侮蔑」「優越感」「反発」「恐縮」といった感情、表現の区別が難しく、相手のあらゆる反応が重荷になります。強めの反応が返ってきた場合、そこまで言うのなら、きっと相手は正しく、自分がどこか間違っているのだろうと思ってしまいます。相手が下手に出れば、自分が相手の重荷になってしまっているようにしか思えなくなります。「相手への全否定」と、「自分への全否定」の間の往復を繰り返すことになり、最終的には自分がおかしいのだとしか思えず、疲れ切ってしまいます。本当は、そのような「突発的な」コミュニケーションは、極力避けるのが、賢い方法なのかも知れません。
 それにしても、平気で割り込みやポイ捨てができるほど、想像力や感受性、責任感が乏しい人って、一体なにが楽しくて生きているのでしょうか。ごく普通に不思議です。

Q.52 定型発達者と「これは違う!」という異文化(あなたの考えや趣 味)について教えて下さい。

 自我の感覚です。視野の内側が世界、視野の外側が自分です。他に寄る術がありません。これは小さい頃からの感覚で、普通はそうではないらしい、という認識に達するのに長い時間が掛かりました。
 発達上の問題と関係があるのかは分かりませんが、幼児期から「官能的なもの」や「死のイメージ」に憑かれていたことも挙げられます。それが、早熟と呼べるような状態なのかは分かりませんが、自分が、乳幼児期から思春期、成人後も、質的にはなにも変わっていない、と感じる理由の一つです。若干、ボキャブラリーが増えるなど、量的な変化は実感できるのですが、自分が今のまま生まれてきたとしか思えないことがあります。古い記憶が、妙に鮮明なのも、そう感じる理由になっていると思います。
 また、常時止まらない、かつ大部分が空回りの思考が挙げられます。例を挙げれば、世の中の事件や身の回りの出来事に、自分がどの程度関わっているのか、などといった事柄を、真面目に考えてしまいます。激しい時は、頭の中が文字通り「きな臭く」なります。
 常時、焼け付くような痛み、飛び上がるような恐怖を感じることのない生活、と言うものを想像するだけで、夢のように思えます。
 また、すぐれた格言や論証を文字、文章にすると、左右が対象ではなく、五十音が均等に使われているわけでもないことが、非常に奇妙に感じられます。

Q.53 あなたの趣味は?

 読書、バイク、そしてひたすら考えることです。

Q.54 あなたが嫌悪する趣味はなんでしょう?

 パチンコなど、考えることを放棄した娯楽のブロイラーのようにしか思えません。同様の理由で、オカルトや偽科学に逃避することも嫌悪します。昔はいろいろありましたが・・・。

Q.55 あなたのコレクションはなんですか?

 ひたすら本です。旅行に行っても、そこでその土地の本を買わないと、行った気になりません。

Q.56 「これだけは誰にも負けない」というマニアックな知識を一発。

 すみません。こういう時の「一発」という言葉使いに少し抵抗があります。他人のリズムを強制されているようで・・。こういう期待に応えられる人間になりたいとは思うのですが。
 こういった事柄は、思考の混乱の原因になることが多いのですが、今回も案の定、そうなりました。具体的に言えば、何度か答えを考えているうちに、いつの間にか、「車を運転していて、どこかで左折しなければいけないことは分かっているのに、どこで曲がればいのか分からない。後ろの車は煽ってくるし、困った!しかも危険・・」という映像にすっかり置き換わっていて、そもそも最初に何を考えていたのか、しばらく思い出せませんでした。疲れていたのか、あるいは寝ぼけていたのかも知れませんが・・。

Q.57 「オタク」? 何の?

 子供の頃は城郭マニアでした。いつも、どこへ行っても、城のことばかり話すので、父に「城気違い」と言われました。いまでもちょっとした写真や図面から判別出来ます。
 あとは歴史ですね。思想的な部分も含めて。

Q.58 どんな本が好きですか? お勧めのAS関係の書籍は?

 思想、科学、歴史、コミックなど、なんでも好きです。傾向としては、外国語から翻訳された文章が肌に合うようです。
 通勤時は、小説・ファンタジーと、論文・エッセーを交互に読みます。家でくつろぐときは、図鑑・事典・カタログ類をぱらぱらめくります。疲れている時はコミックを読むなどし、意識してバランスをとっています。
 AS関係では、数十冊は読んだ中で、ドナ・ウィリアムズさんの「自閉症の豊かな世界」が、最もいいと思いました。特に、共依存への警告部分に戒められますし、共感できる部分も非常に多いです。

Q.59 どんな音楽が好きですか?

 いろいろな音楽が好きです。ただ、とってつけたような、適当な歌詞の歌(ポジティブな単語を並べただけの歌詞、言葉をきちんと使っていない歌詞、歌い方など)は鳥肌が立つほど嫌いです。実際に鳥肌が立ちます。そうした曲を聴くと、どこがどうおかしいのか、語らずにはいられないので、たまに鬱陶しがられます。

Q.60 音楽の一曲リピートにハマったことは?

 実際に繰り返し聴くことを指すのか、頭の中で音楽がぐるぐる回ることを指すのか、よく分かりませんが、どちらも頻繁です。

Q.61 見ていて飽きないものは?

 石ころ、ずしりとした金属の塊、地図、城郭の図面(縄張り)などが、非常に落ち着きます。城郭の縄張りについては、無意識ではありますが、自分の心の中をまとめ、整理するうえで効果的だったと、今では思っています。

Q.62 地図、辞書、電話帳、色見本帳、時刻表。どれが一番ハマる?

 地図です。

Q.63 オススメの観光スポットやレジャー施設は?(できれば理由も)

 ひたすら博物館です。旅行をしても、その土地の博物館に行かないと行った気がしません。
 理由としては、その土地の風景、におい、人間、歴史、全ての要素が繋がっていることを実感し、頭の中で整理することができるからです。

Q.64 アスペの人にとって、住みやすい都道府県はどこだと思う?

 南方の離島がよさそうに思えますが、住んだことのない県について判断することはできません。

Q.65 アスペの人にとって、住みやすいと思う国はどこだと思う?

 日本以外の国に住んだことがないので、分かりません。結局日本が一番かも知れませんし。

Q.66 どんな家や部屋に住みたいですか?

 境界がはっきりしていて、見晴らしがいいものがいですね。壁は全部本棚でいいです。
 また、映画などで見た映像が刷り込まれているせいか、空襲や異星人の来襲で、真っ先に狙われるような大都会は、あり得ないと分かっていても躊躇してしまいます。それでも本のない田舎は耐えられないので、結局、適度な郊外にある今の家に落ち着きました。

Q.67 できれば在宅で仕事をしたい?

 もちろんです。街に出るだけで消耗し続けているように思われます。在宅というより、山に籠ることばかり考えています。

Q.68 カバンの中身を教えてください。常に持ち歩いている必需品って、ある?(消臭スプレー、サングラス、耳栓・携帯音楽プレーヤー、タイマー、等は?)

 ひたすら本です。常に数冊の本を持ち歩いていて、忘れると禁断症状がでます。活字中毒ですね。

Q.69 服装について、人から何か言われたことは?

 いつも同じ物を着ているので、たまに注意されます。

Q.70 お風呂には週に何回?

 毎日入ります。

Q.71 色や音付きの夢を見る?

 色や音付きの夢しか見ません。白昼夢も同様です。悪夢や現実離れした夢、壮大な夢ほど鮮やかで、記憶に焼き付きます。また、触覚や痛覚が印象に残る夢も、たまに見ます。明晰夢もよく見ます。
 多数の感覚を動員する夢は、非常に疲れますが、内容によっては、映画や小説以上の読後感?があります。

Q.72 なかなかやめられない「儀式」って、ある?

 道路を渡るとき、階段を上るとき、建物の影を横切るときなど、かならず8歩で歩く、といったことが該当するでしょうか。特に8が好きなわけではないですが。
 手足の指、顎等、体のいろいろな可動部で、特定の立体図形を空中に描くことも、やめられないことの一つです。
 他には、看板やポスターのフレーズを、とにかく声に出して読む、気になるものにはとにかく触ってみるなどの行動があてはまるかも知れません。たまに人前でもしてしまうので、驚かれます。
 口に出したり、出さなかったりですが、言葉の並べ替えや、無意味造語、無意味論理展開、といった遊びもやめられません。
 また、うれしい時にはぴょんぴょん跳ねたり、楽しい時にはスキップをしたりなど、やや極端な感情表現を、儀式的にしてしまう傾向があります。妻に聞いてみたところ、やっぱり少し恥ずかしいとのことで、状況の見極めが課題だと思います。
 加えて、猫を見ると思わず「にゃーん」と叫んでしまうことです。

Q.73 実年齢より若く見られる?

 若く見えるのかどうかは分かりませんが、だいたい年下扱いされます。やっぱり童顔かも知れません。

Q.74 対人コミュニケーションで、工夫していることは何ですか?

 話すことを事前にまとめます。そうでないとひたすら混乱して言葉もおかしくなってしまい、どもることが多いので。そうなってしまった場合には、目立たないように人差し指を振ってリズムを取り戻します。話し方については、小さい頃から、からかわれたり、叱られたりといった経験が多いので、リズムを意識し、顔の他の部位の動きと連動させるなど、工夫を欠かしません。
 視線については、今まで相手の眼を見るように心がけて来ましたが、「開き気味の瞳孔で覗きこまれるのが怖い」、と言われたことがあるので、もっと工夫が必要だと感じています。
 また、いつでも自分の行動や話したことを、頭の中で思い出し、添削します。その時の観点は、言い訳をしていないか、本当ではないことを話していないか、一般からはずれたことを話していないか、人を不愉快にさせるパターンに入っていないか、などです。その場に妻がいれば必ず、自分が変なことを話していないか、聞いて見ます。バランスが崩れると、脅迫的になってしまい、正当性を求めての堂々巡り、記憶の無限再生になってしまいますが・・。
 そうしたことをいつも考え続けているので、人の気持や場の雰囲気を理解できなくても、分類することには長けているように感じることが稀にあります。

Q.75 定型発達者と関わる時はどうなる?

 初対面の人、頻繁に会う人に対して全く態度が変わらないという特徴があります。そのせいか、大抵の人は二〜三回目で一瞬奇異な表情を浮かべるのが分かります。私には、親しい人、親しくない人を識別し、それに行動を合わせる能力が不足しているようです。
 他に、人に言われて印象的だったのは、「人のことに興味ないだろ」「もっと心を開けばいいのに・・」「気を遣うのに使えてない」「いつも申し訳なさそうな顔をしている」「(話していても)何も返ってこない」などです。そうしたことを言われると、いつも、何かが見破られたようで、心が凍りつきます。まだまだ工夫が足りませんね・・。
 身近な人と話す場合、ちょっとした愚痴や世間話の内容を論理的に突き詰め、結論を急いでしまいます。適切に「処理」しようと懸命になり、本当に必要な対応がなかなかできません。それが困難になると困惑してしまい、「どうして泣いているの?」「なぜ今笑うの?」などと、質問攻めにしてしまったり、言葉遣いの微妙な部分を追及してしまうなど、ますます噛み合わなくなります。妻に言わせると、「いつも自分が間違っているような気にさせられてしまっていた」そうです。
 他にも、言葉が通じない、とか、気持ちが通じない、といった理由で妻を泣かせてしまうことがあり、いつも申し訳なく思います。

Q.76 リアルでAS当事者と遭遇したことはある? その時どうする?

 それっぽいと思う人は大勢いますが、私はなにも判断しないようにしていますし、その人に対する私の対応が変わるわけではありません。公言している人には会ったことはありません。
 私は未診断ですし、カミングアウトもドロップアウトもしていないので、「非常に変わった定型の一人」として、接することになると思います。

Q.77 血液型でB型と間違えられることがある?

 自分と同じ血液型を想定してくる人はいないような気がします。最終的に少数派のAB型で落ち着きます。血液型性格判断を信じるわけではありませんが、自分が変である自覚があるので、相手と同じだというだけで申し訳なくなります。

Q.78 あなたのリラックス法は?

 体を揺らしてリズムをとったり、存在しない言語で歌を歌います。存在しない言語で叫んだり、独り言を言うこともあります。死にたいほどの居た堪れなさも、出鱈目な歌にしてしまうと、何となく紛れます。
 また、ごく小さな頃から「死体になる」のが好きでした。これは幾分、性的な要素を含んだリラックス法かも知れません。安物の毛布の縁の、ナイロン生地の部分に触るのが異常に好きでしたが、これも同様で、リラックスにつながっていたかも知れないです。ごく小さな頃から、自分の体は安心して遊べるおもちゃでした。加えて、子供のころはよく押し入れに入っていました。
 大人になってからは、ひたすら本屋さんに逃げ込み、ふらふら彷徨います。

Q.79 最近失敗したことは、何ですか?

 失敗だらけです。または、自分のしたことが全て失敗にしか思えない場合が多いです。

Q.80 日常生活の楽しみは?(小さな事柄でも)

 季節のにおいを嗅ぐこと等です。そうしたちょっとした事柄にも、「官能的なもの」を感じます。

Q.81 「あー自分ってASだなぁ」と思うのはどんな時?

 今です。
 最近の宴会で、周りの会話に全くついてゆけず、最後まで、きれいなコースターを汚さないで持って帰りたいとか、我が家の猫はどうしているだろうか、といったことだけ考えていました。以前はあまり変に思っていませんでしたが、自分がおかしいと思って見ると、あきらかにおかしいです。

Q.82 男性、女性、どっちに生まれたかった?

 女性です。「お母さん」になりたかったです。

Q.83 男性脳?女性脳?

 両方を持ったことがあるわけではないので、何とも言えません。両方とも持っていないようにも思えます。
 →後になってネットで調べ、そうした自己診断の方法があることを知りました。いくつかのHPで挑戦した結果は、「中性的」だそうです。(どのHPでも一様に、「バランスが取れていて、友達にも恵まれる」と言われました。可笑しくて、思わず笑ってしまいました。)
 基本的に、こういった、「言い切り型」の区分には懐疑的なのですが、そんなものかな、とも思います。個々の質問には、しっくり来ないものも多かったですが・・。

Q.84 恋愛についてどう思う?

 よく分からない部分が多いですが、ある種の「切なさ」を感じ、それを大切にしたいと思います。対象としては、妻以外については想像すら及びませんが。
 相手のことをどこまでも知りたいと思い、どれほど知ってもきりがなくて、そして知るのが怖い、そういったものですね。

Q.85 どちらかというと、異性に興味がなかった?

 人に興味を持つときに、性別など意識しません。

Q.86 異性と話せるようになったのはいつ頃?

 人と話すときに、性別などは意識しません。大人になって、マナーには気をつけますが。

Q.87 女っぽい女性や男らしい男性が好み?中性的な人が好み?

 中性的な人がいいです。そうでない人に対しては対応しきれません。性別という物は、言語以外のコミュニケーション要素を増大させる、大きな負担要因だと思います。

Q.88 20代以上の方、思春期はどうでした?

 時期として思春期を区切れば、理不尽な扱いを受けたり、辛い状態もかなり経験しましたが、「本で読んだ出来事のような」感覚もあります。
 これまでの人生を振り返った場合、いわゆる物心が付いたばかりの乳幼児期と、思春期、現在の間に質的な差は一切ないように思えてしまいます。いろいろな面で。環境だけが、刻々と変化して、通り過ぎて行くようで、時間の概念もあまり意味をなさないような気がします。私には、いまだに物心が付いていないのかも知れません。しかも、そうした感慨を人に漏らすと、多少は同意されます。そうした人の言葉に寄れば、私は「素直すぎる」そうです。

Q.89 さみしくなるのはどんな時?

 実在の人物や、映画、小説の登場人物で、どうにか感情移入できそうだった相手の、「普通の部分」「自分には決して得られない部分」を意識させられると、強烈に寂しくなります。自分のこれまでの人生の大部分は、「自分のような人間は他にいないのか」という探究に費やされて来たので、「今度こそ」という期待が、一見なんでもないようなことで崩され、裏切られる感覚、寂しさは、言葉に尽くせません。
 複数回会っている相手が、初対面の時とは違う態度をとろうとしてくれたにも関わらず、あまりにこちらの手応えがないため、「空振りだったかな・・」というような、幾分怪訝さを含んだ表情で見られるのも、いつものことですが、寂しくなります。
 これもいつものことですが、仕事の飲み会で何も出来なかったとき、あるいは、どうにか飲み会の誘いを断って家に帰った時、ほっとすると同時に、「また人間になれなかった」と思い、落ち込みます。たまに飲み会で話しかけてくれる人がいても、最初から、相手が「貧乏くじを引いた」としか思えず、申し訳ないですし、寂しいです。
 また、なんの前触れもなく、突然寂しくなることも多いです。

Q.90 親に言われて辛かった言葉は?

 父に、「おまえ友達いないのか」と言われたことが強く印象に残っています。母には、「あんたは自分に甘く、人に厳しい」と言われました。今では、現象として理解でき、むしろ言われてよかったと思っていますが、公平に対するこだわりは元々強かったので、その頃は納得できませんでした。

Q.91 親に言われて嬉しかった言葉、支えになった言葉は?

 良いことも悪いことも含めて、言われたこと全てです。また、これから言われるであろう全てです。

Q.92 理解者は周囲に居ますか? 悩みは、誰に聞いてもらってる?

 妻がいます。感受性が強くて涙もろく、そそっかしいところもありますが、いつも懸命に考え、決して間違ったことを言いません。私にとっては生涯で唯一の友人です。
 人付き合いが得意とはいえない妻で、見た目は似たもの同士なのですが、彼女を見ていると、私とは根本的に違う部分があり、自分が単に内気なのとは全然違う、ということを意識させられます。以前は、普通に悩みなど共有できていたと思っていたのですが、どうも自分が思っている以上に無理をさせてしまってきたような気がしてなりません。
 最近では、妻が感情の仕組み、表現などについて、いろいろな方法で教えようとしてくれているのが分かります。とても厳しく、ほとんど衝突に近い状態の時もあり、時には辛抱強く、様々なことを教えてくれます。感覚の違いなどについて話し合い、突き詰めることが楽しい作業である場合もあります。
 それでも、大きすぎるずれは、お互いにとって大きな衝撃であることに違いなく、辛いことも多いです。

Q.93 今の悩みは?

 普段辛いのは仕方ありませんね。
 アスペルガーの概念を知るずっと前から、子供を作ることが怖いと思い、妻にも話して来ました。自分に似た子供だったら、苦労するのは目に見えていますし、自分のおかしな部分を、目の当たりにさせられ、「好きになれなかったらどうしよう」、と思って来ました。逆に、自分に似ていない子供だったら、持て余しそうですし、親の私が自分の子供にコンプレックスを抱いてしまいそうで、怖かったです。
 ただ、以前のような、漠然とした不安、恐怖に比べれば、より具体的にイメージできる今の状況は、幾分前進していると言えるのかも知れません。

Q.94 日本の社会福祉に一言。(法律、教育、行政など)

 いろいろ書きましたが、取り消します。福祉については勉強不足なので。

Q.95 アスペルガーな人に一言。

 ありません。目の前にそういう方がいたら考えます。

Q.96 定型発達の人に一言。

 ありません。目の前にいる方について考えます。

Q.97 あなたの言いたいことを一言。

 ありがとうございます。自分を捉えなおすよい機会になりました。

Q.98 お疲れ様でした。全問やるのに何分かかりましたか?

 3日かかりました。
→今でも定期的に更新しています。
 ※今はむしろ、備忘録として使わせて頂いています。表示順が上がらないようにできればいいのですが・・。

Q.99 順番どおりに答えましたか?

 いいえ。休み休み、好きな項目から応えました。

Q.100 今の気分は?

 やや興奮気味です。少し冷静になるべきですね。
 ここまで書いても、私は自分がアスペルガーの概念に、確実に該当すると信じているわけではありません。どんなに変であっても、どうにかこうにか日々を過ごせていますし、そもそも、人間の特定のジャンルに「当てはまる」経験など皆無でしたから・・。アスペルガーのような、急速に広まって流行している概念ならばなおさらです。
 とにかく、今は自分の違和感を明確にし、自分を捉えなおす必要があると感じています。私は、自分が今いる場所が、落下地点ではないこと、人生で学ぶべき、直面すべき何かから逃げ続けた結果ではないことを確かめたいと、ずっと考え続けていました。むしろ到達点であり、休み休みでも登り続けることができることを忘れたくないと思います。
 純粋に知的好奇心からも、様々な認知の形態が存在するなら、その違いを見極めたい、と願っています。そうすることにより、自分というものについてもより深く追求することができると信じています。

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質問 : アスペルガーな人へ100の質問
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